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ベトナムで活躍するデザイナー ファン ディン アン コア氏
2012/03/13
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ベトナムへ帰国後、友人と一緒にKAD広告会社(現住所ホーチミン市)を設立しました。彼の事務所で、私たちに昔の夢や現在の仕事について語ってくれました。

 

コア氏は、1999年ホーチミン市経済大学企業ファイナンス学部と建築大学工業デザイン学部の2年生の時に日本へ留学することを決めました。日本へ留学したのは「デザインの勉強をするためには、ユニークな商品で世界に知られる日本が一番」と考えたからです。当時彼は20歳で、貯金はゼロでしたが「一人前なので安心して欲しい」と両親を説得し、京都精華大学に私費留学生として来日しました。学費は免除されていましたが、生活費を稼ぐためにウェイターをはじめヌードモデル、店員、通訳など様々なアルバイトをしました。

そんな状況の中で勉学に励み奨学金獲得を目指しました。努力の結果、来日から5年目を迎えた2004年に①毎日広告デザイン賞優秀賞を受賞、②日本政府(文部科学省)奨学金授与、③株式会社博報堂内定という3つの好機を同時に得ました。

彼はその時のことを「髪の毛がたくさん抜け、頭がはげるほど必死に勉強しながらアルバイトをした結果です。」とジョーク交じりに話しました。費と生活費の心配がなくなったので東京藝術大学の大学院に進学しました。6ヶ月間受験勉強をし、初のベトナム人留学生として入学しました。東京藝術大学在学中に、ベトナムの革命家ファンボイチャウ氏(1867-1940)に興味を持ち、2年間彼の研究をし卒業制作としてドキュメンタリービデオ「ファンボイチャウが見た二つの日本」を製作しました。

ベトナムへ帰国後、友人と一緒にKAD広告会社(現住所ホーチミン市)を設立しました。彼の事務所で、私たちに昔の夢や現在の仕事について語ってくれました。

彼は現在でも芸術を追及し続けています。現在30歳ですが、とても落ち着いた雰囲気があります。彼は行動が早いようにみえますが、一つ一つの仕事にじっくり時間をかけ準備する人です。彼の作品を見るとそれがよくわかります。4年という年月をかけた作品が、2004年に第71回毎日広告デザイン賞優秀賞を受賞しました。外国人がこの賞に入賞するのは、毎日広告デザイン賞71年の歴史で初めてのことでした。その後2年をかけて「ファンボイチャウが見た二つの日本」を製作しました。

彼は「日々の仕事は広告を製作することで、芸術家としての仕事は趣味です。なぜなら芸術と言うのは、感情が高まってアイディアがひらめき、これまでの経験によりそのアイディアを形にするものだからです。」と語りました。京都精華大学でビジュアルコミュニケーションデザインを専攻し、デザイナーとは経営者の考え方を持ったアーティストだと考えています。デザインにおいて最も重要なことは、優れた応用性であり、次に美しさがあります。彼らのKAD社はプランニングと クリエイティブを専門とする広告会社です。KAD社の方針は、依頼主の商品が多く売れるような効果の高い広告を作ることです。

彼は、味の素の商品パッケージの新しいデザインを作成したり、2008年のモターショーではTOYOTAの広告を担当したりするなど仕事においても成功しました。KAD社は、社員数は少ないですが、アイディアを一緒に考え、仕事を分担して担当しているので少人数でも仕事を効率的に進めることができます。彼の今後の目標は、会社を軌道に乗せることと自分の趣味‐芸術のための時間を作ることです。

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